坂 村 真  民  の  世  界

よ う こ そ タ ン ポ ポ 堂 ヘ(最終更新2003.6.28)

   (愛媛県・双海町ふたみ潮風ふれあい公園のあじさい)・2003年6月28日撮影)

 

1.詩 国 7 月 号 2. タ ン ポ ポ 堂 か ら 
3.朴庵(ほうあん)例会のご案内 4.坂村真民全著作一覧 
5.詩国バックナンバー 6.タンポポ堂ライブラリー           (桜いろいろ)
7.作成者からのご挨拶 8.坂村真民関連HPリンク集
9.メッセージボード  

     あなたは  人目の来訪者です。 


坂村真民さんの略歴

明治42年1月6日  熊本県に生まれる。8歳の時に、父親

の急逝によりどん底の生活に落ちる。5人兄弟の長男とし

て母親を助け、幾多の困難と立ち向かう。昭和6年 神宮皇

学館(現皇學館大學)を卒業。25歳の時、朝鮮にて教職につ

き、36歳全州師範学校勤務中に終戦を迎える。昭和21年

から愛媛県で高校の国語教師を勤め、65歳で退職、以後詩

作に専念する。始めは短歌を志し、昭和12年『与謝野寛

評伝』を著している。四国に移住後,一遍上人の信仰に随

順して仏教精神を基調とした詩の創作に転じる。昭和37年、

月刊詩誌「詩国」を創刊、以後毎月、一回も休むことなく発

刊し1200部を無償で配布している。また詩の愛好者によっ

て建てられる真民詩碑は日本全国47都道府県に分布し、

その数は現在,海外の20基と合わせると約657基となる。

主な著書は、4.「坂村真民全著作一覧」に載せてます。

(南股小学校の除幕式にて(12.9.16撮影)

                                                                


1.詩 国  7 月 号 第 四 十 二 巻 7 月 号
             
ツバメと戦争

ツバメが
スをつくリ
中から
こえが
きこえる
生まれたのだ
もう何年も
ねている妻に
そのことを
知らせる
戦争が始まり
殺し合いが
毎日のテレビ
ツバメの
親子よ
幸せであれ
九十代

九十代を
どう生きるか
それは今のわたしの
最大の課題
長短針がかさなり
わたしを目覚めさせ
宇宙の動きのなかで
いろいろ考え
ペンをとっていると
特別深い意義を
持ってくる


 ワタリガラス

星野道夫さんの
本に出てくる
ワタリガラスよ  
タンポポ堂を    
たずねて来て
くれないか
とり年生まれの
わたしだから
先祖は
ひとつなのだ
若かったら
訪ねて行くが
老いの身
どうすることも
できない
声だけでも
聞かせて
おくれ


 らとみのちがい

しんらん
しんみん
らとみのちがいは
天地のちがい
でも
それでいいのだ
天地は
つながっているのだ


 地  獄

わたしの
最初の記憶は
地獄であるが
地獄から
叫んでいる声を聞く思いで
仕事をしていたら
失敗することも
あるまい
つまり             
命がけである
そういう人間が
今はいなくなった
妙法蓮華経
観世音菩薩普門品世尊偈(げ)を
唱えながら
ふと
そんなことを思った


 つ な が り

生きるということは
つながりを持つということだ
人間でなくてもいい
鳥であってもいい
命が
つながっているということだ
ツバメが
巣をつくり
子を産んで
飛び立っていった
今年は
いい年だと思う



 ベニ色の朴の花

ペニ色の朴の花が
咲きましたと言って
高原の久万(くま)の町から
車を飛ばせて
持ってきて下さった
岡さんの純心素朴な姿に
わたしは感動した
こんなお方があるので
朴も
美事な花を
咲かせるのであろう
朴の花は
花の中の
王女である
朴よ
母なる地球を
戦争などしない
平和な国にしておくれ

 苦を共にする

階段が
あがれるようになっても
二階の書斎で
寝起きすることをやめ
ふすまをへだてて
妻と共に
寝起きすることにした
妻はひる眠り
夜起きているので
たんがつまり
たんに苦しむ
大きな声を出し
わたしも
眠れないが
それを苦にせず
一回でも多く
祈ることにした
わたしが倒れなかったら
このことは
体験しなかったであろう
すべてを
感謝で受けとめ
精進してゆこう
しっかリしろ
しんみん


 わたしの宇宙論

天は父であり
地は母である
天地合して
宇宙となる
天はアであり
地はンである
天地合して
阿吽(あうん)となリ
万物生成の
根源力となる
唱えよ
アウンの真言を
体得せよ
妙法無限の力を


 太  鼓

寝台にさげている
太鼓
それは痛みが激しく
起きあがれない時
真美子を呼ぶための
太鼓
でも一回も
たたくことなく
痛みは
とれていった
太鼓が
守ってくれたのだ
ああ
ありがたい太鼓よ


 笑 い声

夜(よる)
ふすま越しに
聞いていると
近ごろ
妻の笑い声が
きこえることがある
脳血栓の栓(せん)が
すこしゆるんで
正気になってゆくのかと思い
祈りを強くする
 アーウン アーウン アーウン


 勇気を出して

上がれなかった
階段が
上がれるようになった
昏倒してから
二カ月後
ある日
勇気を出して
上がった
久しぶりに見る
石鎚(いしづち)の山なみよ
雲わき
雲流れ
飛びゆく鳥よ
しんみんよ
勇気を出して
詩を作り
詩国斌算(ふさん)に命を賭けよ

                   後        記
                           
            1 二度とない人生だから  

二度とない人生だから、一日一日をしっかり生きねばならぬと、自分を励ましながら生きている毎日だが、

年をとると、なかなか、思い通りにはゆかないものである。特に倒れてから、気が弱くなり、自分を鞭打ちながらも、

一日一日が、無為に過ぎてゆく。

 倒れてから随分本を読んだが、本はやはり本で、気海丹田、腹の底まで揺り動かすだけの力はない。

深夜やってくるこんとんさんと静かに対座対談している方が、よほど力になる。 

 人間を

 人間にしてくれるのは
 
 頭でなく
 
 足である
 
 その足をやられて、わたしは二ヶ月あまり寝ていた。でもよい試練だった。

 羽抜け鳥

 身を細うして

 かけりけり 高浜虚子(きょし)

 
                  2  生命と霊魂

大字宙の生命よ

大字宙の霊魂よ

 生命と霊魂とは、わたしが求めている信仰と言ってよかろう。零時零分に起床するのも、生命と霊魂とを

体の中に浸透させたいためである。 午前三時三十分寅の一刻は、大字宙の粒子が一番強く流動する、

尊い時である。幸いわたしは、小さい時から早く起床する体質なので、少しも苦にはならず、今日まで生きてきた。

体の弱いわたしが、九十歳を越えることができたのも、大宇宙の生命摂取吸飲によるものと思う。

信仰は、大生命に触れて始めて生きてくる。


                3  老いの恐ろしさ

 詩を書いていると、老いの恐ろしさを痛感する。詩は、若い人の特権かも知れない。夢を持ち、力を持ち、

前進的であり、愛に溢れ、若木のように瑞瑞しているからである。老いても青春を持てというのは、自然ではない。

 中国には老子という人がいた。利根白泉という方は、老子のような人であった。わたしの命の恩人でもある方

であるが、ああいう方はもう出現しないだろう。老いは恐ろしいが、わたしは白泉翁に出会っているので、

救われている。


                4  毅 然 た れ
                
酉(とり)年生まれの守護霊さまは、不動明王である。そのことを忘れず、毅然たれ。

 日本も落ちる処まで落ちてゆくだろう。どこの国の人間か、わからない処まで落ちてゆくだろう。


恐ろしい世の中になった。明治、大正、昭和、平成と生きて、唖然(あぜん)とするほかはない。

詩はわたしの武器である。


                5  宇宙は美しい

 人の世も

 斯く美しと

 虹の立つ  虚子

 わたしの好きな句の一つであるが、星野道夫の本にも、「ノーザンライツ」というのがあり、「彼らは、オーロラを

ノーザンライツ、北極光と呼ぶ」とある。若かったらオーロラを見に行きたいが、せめて虹を見て、人の世も斯く

美しと賛美したい。わたしは宇宙信仰者であるが、日の丸を国旗とする日本民族は、その使命がどこにあるか、

これからの子供たちに、しっかと知らせる教育をしてもらいたいと切念する。


                6  良 書 紹 介

 「日々これ掃除」

 著者 鍵山秀三郎。致知出版社

 掃除では、日本一、いや世界的なお方。掃除を通して、世界を美しくする人の本です。

 すべては実践です。実行です。だまってやることです。

「人の心にともし火を」

 著者 井上 煌。退職記念の著書です。題名がいいですね。

 煌というお名もいいですね。煌煌明星煌煌。煌煌は、きらきらと光る星。生まれながらに、
 
 そうした名を持ち、教師となり、退職された後も、やるぞという決意の表れた本です。
 
 森信三先生の直系を行く人です。
 
 申込先 〒675−0011加古川市野口町北野150−7

 領価 500円(送料別)

                  7  前 月 号 か ら

 一位 「母よ」。 二位 「母の夢」。 三位 「深夜の声」。 四位 「仏法」。五位 「朴の花」。

ありがとうございました。

      詩 国  ト ッ プ ペ ー ジ へ

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